著名なクラシックアーティストを試聴室にお迎えして、ご自分の新作ディスクを最新のラックスマン製品でお聴きいただこうという特別企画の第5回目。今回はヴァイオリニストの奥村愛さんです。
奥村さんと言えば、DVD-Audio立ち上げ時期にデビュー盤がリリースされ、新しいディスクのフォーマットをプロモーションするさまざまなイベントで、いただいた応援メッセージを流し(まくっ)ていたのがつい最近のようです。当時から独特の柔らかな雰囲気と確かな演奏テクニックに、業界内のファンがとても多かったのが印象的でした。
ということで、今回も音楽之友社「レコード芸術」誌8月号に掲載中の取材内容を特別に2回に分けて掲載いたします。
ヴァイオリニスト・奥村 愛さんを迎えて
純A級プリメインとエントリー・セパレート聴き比べ
L-590AII VS C-600f/M-600A
■文:今泉晃一
演奏会はもちろん、テレビやラジオでも大活躍のヴァイオリニスト、奥村愛さんは、今年3月、加古隆(作曲とピアノ)をゲストに迎え、竹本泰蔵指揮オーケストラ・アンサンブル金沢をバックに約2年半ぶりのアルバム『ポエジー』をリリース。加古隆の情感あふれるオリジナル曲を軸に、スコットランドやアイルランドの民謡による編曲ものやモリコーネ、ピアソラにも挑戦。ヴァラエティに富みながら民族的な香りで全体を統一したクロスオーヴァー・アルバムとなっている。奥村さん自身、前作からの間にたくさんの人や曲と出会い、また「自分はどんなことがやりたいのか」と考える時間が持てた結果、『ポエジー』では選曲を含めてこれまで以上に深くアルバム作りに関わることができたのだとか。
そんな奥村さんをラックスマンの試聴室に迎え、純A級プリ・メインアンプの最上位機種L-590AIIと、上級機の技術とクオリティを受け継いだセパレート・アンプのエントリー機C-600f+M-600A、それぞれが作り出す音の世界を体験していただいた。
半年前の自分がそこに出現した
2セットのアンプを比較するように『ポエジー』を聴いていった奥村さん。「普段、家で音楽を聴くときなど、自分のパートを追いかけてしまうのがくせになっていて、なかなか全体を聴いて楽しむということができないんです。でも今日は聴いていて気持ちが良かった」というのが最初の感想だった。
「このCDも今日は久しぶりに聴いたのですが、つい半年ほど前のレコーディングなのに『今だったらこう弾くかな』と思う部分がいくつもありました。最近は時間の密度がだんだん濃くなっていて、この半年にも経験を積んで自分が変化していますから。しかも、こういう本格的なオーディオ装置で聴くと、半年分の差がよりはっきりと出てきて、ちょっと気恥ずかしい部分もありました」
半年前の自分自身の姿が、それだけ現実味を持って再現されたのだろう。同時に、普段自分では聴くことのできない、客席側でのヴァイオリンの音を体験できたのでは?
「私としては、ステージで自分が感じている音と、お客さんに伝わる音がそれほど変わらないつもりで弾いています。実際にL-590AIIでは、弾きながら感じている生の音に非常に近い気がしました。それから、コントラバスがステージではそれほど聞こえないのですが、今日聴いてみると『こんなに迫力のある低音が出ていたんだ』という驚きがありました。私は低音楽器の音がすごく好きなので、嬉しくなってしまいました」
試聴した2つのシステムを「夢と現実」と評した奥村さん。L-590AIIは...?
演奏会とはまた違った
聴き方ができるのでは
では、普段聴かれているサウンドと比べて、何が一番違いますか?
「月並みかもしれませんが、臨場感ですね。目をつぶっていたら、ここが客席でもおかしくないんじゃないかな、と感じるくらい。でも、客席で聴くよりも、もっとクリアにいろいろなことが聞こえてくるので、生とはまた違う楽しみ方ができるように思います。演奏会なら今誰が吹いているとか、どんな顔で弾いているか実際に見えますが、そういう演奏者の様子まで音として聞こえてくるように感じました」
さて、プリメインとセパレート、2種類のアンプを聴いていただいたわけだが、どちらが気に入ったのだろうか。
「あえて言うなら、C-600f+M-600Aの方が好みです。柔らかな音がいいですね。音に丸みがあって、決して音が曇っているという意味ではなく1枚の薄いベールを通して心地よく聞こえてくるような、そんな印象を受けました。自分自身のヴァイオンリンはこういうふうにお客さんに聞こえてほしい、という音を出してくれたように思います。
それに対してL-590AIIはもっと現実味を帯びているというか、実際のヴァイオリンの音はこうですよ、という感じです。どちらが良い悪いではなくて、極端な言い方をしてしまうと『夢と現実』? C-600f+M-600Aの方は、自分が演奏しながら聴いている音と比べると最初少しだけ違和感があったのですが、時間が経つにつれてとても心地良く聴けるようになりました。オーケストラのバランスなどもきれいにまとまっています。でも、逆にL-590AIIの方が面白みがあるようにも思えるし……悩みますね(笑)。オーディオが好きな人の気持ちがわかるような気がしました」
後編へ続く・・・
投稿者 luxman
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